耳を塞ぐことも叶わず、全てを聞かされた。


そして、後ろから急にあごを捕まれて、顔だけ後ろを向かされた。




「それで、警察には言ってないよな?
何でだ?」




ニヤリと笑いながら聞いてくる。


それがなんとも色っぽかった。




「殺したなんて、証拠がなかったから。
ただ笑っているだけじゃ、証拠にはなりません。
それに、少し見ただけだったので、気のせいかと思いました……」




その色っぽさにドキドキしながらも、逃げることの出来ない私は、正直に答えた。