1人ではない。 いつの間にか、刑事は増えていた。 本当はたぶん、2人共が気付いていた。 こんな中、いつまでも逃げられる訳がないと。 だけど、もう少し、あと少しだけでも傍に、一緒にいたかった。 「だけど、千紗を利用するのは失敗した」 「え?」 走りながら聞こえる言葉に、耳を傾ける。 そんなことない。 彼の思惑は、成功しているはず。 だけど、次の言葉は私を驚愕させた。 「利用出来なくなったんだ。 ……千紗を好きになったから」