「知らないふりをしていたのは、千紗を利用出来ると思ったから」 言いにくそうに、でもはっきりと言った。 結局、私たちは同じことを考えていたんだ。 誰かを利用することしか、考えていなかったんだ。 そして、私は失敗し、彼は成功したんだ。 「見つけたっ!」 話している最中に、そんな声がしたとたん、彼が私の手を引いてまた走り出す。 「あ、待ちなさい!」 そう言って、刑事も追いかけて来る。