彼に送ってもらったこともある。 でもそれは、仮住まいであって、ここではない。 彼と出逢ってからは、ここを使っていない。 だから、ここを知っている訳がなかった。 だいたいここは、独りになってから借りている場所なのだから。 「えっ……?」 あきらかに彼は、動揺していた。 ただ理由を聞いただけなのに、答えにくそうにしている。 「やっぱり、あなたは月島彰吾と知り合いだったんですね」