そんな文句を言っても、どうにかなる訳ではない。
仕方なく、駅の方へ歩き出した。
その時、だった。
急に腕を引っ張られて、建物の影に連れて行かれ、気付いたら人の腕の中にいた。
背中から抱きしめられていたんだ。
そして、口は相手の手によって塞がれていた。
いきなりのことで、何が起きたのか分からなかった。
だけど、恐怖だけはあって逃げようともがいた。
それでも、びくともしない。
そんな時、低い声で言われた。
「今日、見ていたよな?」
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