「ん・・・」


目覚めると、少し雨が降っていた。


「あ、起きた……? 」


彼は優しく言うとにこっ、と笑んだ。


「雨・・・?」


寝起きでまだはっきりしない意識のまま聞くと


「夕立、かな? さっきから雷も聞こえるし・・・」


彼は言葉を切り、耳を澄ませた。



−ピシャーン−



何処か遠いところで雷が響いた。


「・・・怖い?」


気遣うような声で言われ、こくん、と頷く私。


「よし、じゃあこっちおいで? 」


言うが早いか、私を抱き上げた彼は丘の奥、森に向かって走り出した。