あの頃は、まだ自分の運命なんて分からなかった。


「暖かいね」


いつものように丘に来ていた私達は、木陰に座っていた。


「うん、此処はお日様がちょうどいいね」


彼の肩に頭を預けると、優しく抱き締められる。


「眠たくない? 」


気遣うような声に目だけで彼を見ると、彼はいつもの笑顔で


「寝てもいいよ? 」


と私に上着を掛けてくれた。


「・・・うん」


うとうとしながら答えると、彼は優しく頭を撫でてくれた。


「好きだよ」


頭上で聞こえる甘い声に私は安心し眠りに付いた。