眠り姫【短編】


ドキドキして、上手く口が開かないなんて、貴重な初体験だった。

「君は、どんな病気なの?」

「…え」

図々しいというか、失礼というか。

初対面の人にそんな質問をされるなんて、これまた貴重な体験だ、と思った。

答える気はなかったが、貴重な体験をさせてもらったお礼と思って、答えてあげた。

「眠り姫になる病気。」

私がそう微笑みながら言うと、少年も笑った。

「なにそれ。なんか、きれいな病気だね。」