水色べんとう

「さっき自己紹介したでしょう。山口空」

「山口空、な。よし覚えた。俺の名前は笹木圭輔」

「あー、知ってる」

「知ってんのかよ」

「うん」
 
春橋さんと同じ中学だったから。

「それで、お前……春橋がどうかしたかよ」

「え?ああ、うん……友達に、なってみようかと」

「ふうん……」
 
笹木君は、曖昧な風にうなずいた。

「まあ、いいんじゃねえ?」

「なに、それ」

「なんとも言えねえよ。あいつは、変わってるからな」

「変わってる?」

「じきにわかるさ」
 
笹木君はそう言うと、大人っぽく笑った。私は、首を傾げることしかできなかった。