水色べんとう

「ねえ……笹木君」

「ああ?」
 
私は女子ではなく男子の笹木圭輔(けいすけ)君に声をかけていた。彼は春橋さんと同じ出身の中学の人だ。だから、なにか彼女のことを知っているのではないか、と思った。

「春橋さんて、どんな人?」

「……どんな人、って?」

「だから、例えば、うーん、笹木君は、どう思う?」

「はあ!?」
 
私はなんでもないことを聞いたつもりだったのに、笹木君は顔を真っ赤にさせた。ほんとにもう、耳まで染まった正真正銘の「真っ赤」だ。