そのまま入学式をやり過ごし、私は自分が配属された一年四組の教室へ向かった。
 
机に鞄を置き、椅子に腰をかけてふう、と一息つくと、隣の椅子からがたん、という音がした。お隣さんが到着したようだ。あたしは、「よろしく」を言おうとそちらを見る。

「あ……」
 
それは先ほどの女の子だった。肩あたりまである黒い髪が風に揺れて、綺麗だなと思った。あたしは、その子と目を合わせてくすくすと笑った。

「こんにちは」
 
あたしは言う。

「こんにちは」
 
その子も言った。なんだか仲良くなれる気がした。