笹木君の言葉が、まだ頭のなかにぐるぐると回っている。

空の少し大人びた頬笑みが、脳裏をかすめる。

おねえちゃんの茶化すような声が耳の中で響く。

両親の仲のよさそうな姿が胸に抱ける。
 
夏の日差しが、午後の屋上を暖かく包んでいた。
 
太陽に照らされる水色のお弁当箱のなかには、いつもひだまりのように笑っている、彼の姿が見えた気がした。