水色べんとう

「今日のおかずは、なんですか?」

「ひみつ」
 
唇に人差し指をあてて微笑む双太さん。私は、意地悪、といって、また笑った。

「あ、そういえば、双太さん。もうすぐ、お母さんとお父さんが、うちに帰ってくるんです。二人そろって」

「あ、へえ!そっかそっかぁ。よかったねえ」

「それで、その……」

「ん?」

「私、お帰り会とかしたいんです」

「へえ、いいねえ」

「でも、お料理とかできなくて……」
 
私がそこまで言うと、双太さんはなにかを察したように一瞬驚いた顔をした後、「え?」と言った。

「あの……来て、いただけますか?」

「さくらのおうちに?」

「はい……」
 
双太さんは嬉しそうに笑った。