水色べんとう

後日談。
 

その日の朝もいつも通り、ひより屋さんでお弁当箱を受け取ってから学校に向かっていた。

「はい、おべんとう」

「うわあ、ありがとう」
 
水色のお弁当箱に入った世界一おいしいお弁当を胸に抱いて、私は今日も登校する。幸せだ。

「双太さん、幸せの青い鳥って、知ってますか?」

「ん?知ってるよ」

「このお弁当箱も、幸せの青いお弁当箱だったんですよ」

「なに、それ」
 
言いながらも、双太さんはふふふと笑った。だから私も笑った。
 
あの日以来変わったことといえば、お互いの呼び方が一番大きいだろう。

私は相上さんのことを「双太さん」と呼ぶようになったし、双太さんは私のことを「さくら」と呼ぶようになった。空に「なんだか夫婦みたいだね」と茶化されたときには、耳まで真っ赤に染まったものだ。