水色べんとう

「相上さんのおかげで、閉じこもっていた殻から抜け出せたの。ほんとよ。相上さんのおかげなの」

「……うん」

「相上さんにとっては当たり前のことだったかもしれないけれど、私にとっては、凄く大きなことだった。私、男の子が怖かったから。こんなに優しい男の子も、世の中にはいるんだなって、思った」

「そんな、僕はただ……」

「妹になるかもしれない女の子だったから、優しくしてくれてた、とか、そういうのじゃないでしょう?相上さんにとっては、それが、本当に、当たり前だったの。だから、私も、もう男の子が怖くなくなった。不思議ですよね、そうしたら、性格まで前向きに変われて、いつのまにか、笑う回数が増えていたの」

「……………」
 
相上さんは少し戸惑った表情をしていた。でも、どこか真面目な顔だった。