水色べんとう

「もういいから。怖かったよね。もう、大丈夫だから。落ち着いたら、一緒に帰ろう?家まで送って行くよ」

私は、こくんと一度頷いた。もう拒否する理由がなくなったからだ。

「あ、相上さん……」

「ん?」

「な、なんで……京都弁、だったんですか?」
 
相上さんは「ああ」と柔らかく、そして照れくさそうに笑って、

「十歳になるまでは、京都で暮らしていたんだ。両親はお弁当屋で忙しいからって、京都にある伯父の家にぼくを預けた。十代の後半までは、まだ方言がなおらなくて、ここ数年でようやく慣れてきたんだ。だから、今でもたまに、感情が高ぶったりすると、出ちゃうんだよね」
 
お恥ずかしい、と相上さん。でも私は、その笑顔に安心して、そして、自分のためにそこまで怒って、なにより心配してくれたことが嬉しくて、笑った。

「なに笑ってるの」
 
本当に心配したんだからね、と、怒られた。
私は、彼の優しさに甘えて、更に強く抱きついた。