翌日、彼はかき氷屋さん......ではなく、淵添え川に来ていた。
昨日、帰り際に彼女が提案したのだ。


かき氷屋さんの前のベンチじゃ、あたし溶けちゃうからさ、川に入って遊びながら話したいんだよね。それなら溶けないし、君も蒸発しないんじゃないかな。


本来ならわけのわからない理屈だが、彼は何故かそのまま納得して今に至る。
彼女はまだ来ていない。

今日も暑いな、と彼は思った。
また三十度を越えているらしい。

彼は冷たそうな皮に、足の先をつけた。
ひやり、と体に水が染み渡っていく。
両足を踝まで川につけると、体温は一気に下がり涼しくなった。