前島は一年生一人一人の目を見ながら話した。彼の真摯な思いは十分伝わったが、部内恋愛禁止は受け入れがたかった。
カッコイイ同級生や先輩がいればときめくし、付き合いたいと思うのは自然の摂理だ。それに、制服デートできるのは高校生まで。中学校時代は、リアル充実しているカップルを見て駄目だしするか、妄想の世界で生きる彼と頭の中でデートするしか楽しみがなかった。セピア色の日々を二度と繰り返したくはない。この三年間こそ、七色の虹のようにキラキラ輝きたい。
「さて、しめっぽい話はここまでにして、当部のスター選手を紹介しましょう」
チャラい男子部員は、先ほどまで弓を射っていたメンバー五人の一番奥にいる、たまたま前島の影になるよう立っていた部員へ歩み寄った。軽く小競り合いをしたのち右手をつかむと、前島の左横へ並ばせた。
「うわ……」
男子はそういって釘付けになった。
「きゃっ!」
女子は両手で口をおおった。もちろん、真帆も美咲も。現れた男子部員は、周りにいるほかの男子とさほど身長や体格が変わらないのに、圧倒的なオーラを放っていた。
顔は小さく、釣り上がり気味の目にかけた銀フレームのメガネは知的で、多少のトラブルでは動じない、できる男を演出していた。スポーツをするにふさわしい長さにカットされた漆黒の髪はおしゃれにセットされ、腰の位置も隣にいる前島より十センチほど高い。つまり、足が長い。着た胴着や袴はほとんどシワがなく、ドラマの撮影から抜けてきたと言われても違和感がないほど完成度が高かった。
(かっこいーっ、超タイプーっ!)
真帆の頭の中でリンゴーンと祝福の金が鳴り、現れた五人の天使がラッパを吹いた。名前も学年も知らないのに、すでにメロメロ。部内恋愛禁止など遥か彼方へ飛んでいった。
瞬時に空気を察したチャラ男は、胸の前で腕を組みうんうんとうなづいた。
「一年生諸君、君たちの反応は実に素直ですね。すばらしい。ちなみに、彼の名は湯浅涼。いいですか?もう一回言いますよ。ユアサ リョウです。覚えました?」
カッコイイ同級生や先輩がいればときめくし、付き合いたいと思うのは自然の摂理だ。それに、制服デートできるのは高校生まで。中学校時代は、リアル充実しているカップルを見て駄目だしするか、妄想の世界で生きる彼と頭の中でデートするしか楽しみがなかった。セピア色の日々を二度と繰り返したくはない。この三年間こそ、七色の虹のようにキラキラ輝きたい。
「さて、しめっぽい話はここまでにして、当部のスター選手を紹介しましょう」
チャラい男子部員は、先ほどまで弓を射っていたメンバー五人の一番奥にいる、たまたま前島の影になるよう立っていた部員へ歩み寄った。軽く小競り合いをしたのち右手をつかむと、前島の左横へ並ばせた。
「うわ……」
男子はそういって釘付けになった。
「きゃっ!」
女子は両手で口をおおった。もちろん、真帆も美咲も。現れた男子部員は、周りにいるほかの男子とさほど身長や体格が変わらないのに、圧倒的なオーラを放っていた。
顔は小さく、釣り上がり気味の目にかけた銀フレームのメガネは知的で、多少のトラブルでは動じない、できる男を演出していた。スポーツをするにふさわしい長さにカットされた漆黒の髪はおしゃれにセットされ、腰の位置も隣にいる前島より十センチほど高い。つまり、足が長い。着た胴着や袴はほとんどシワがなく、ドラマの撮影から抜けてきたと言われても違和感がないほど完成度が高かった。
(かっこいーっ、超タイプーっ!)
真帆の頭の中でリンゴーンと祝福の金が鳴り、現れた五人の天使がラッパを吹いた。名前も学年も知らないのに、すでにメロメロ。部内恋愛禁止など遥か彼方へ飛んでいった。
瞬時に空気を察したチャラ男は、胸の前で腕を組みうんうんとうなづいた。
「一年生諸君、君たちの反応は実に素直ですね。すばらしい。ちなみに、彼の名は湯浅涼。いいですか?もう一回言いますよ。ユアサ リョウです。覚えました?」

