「……寝落ち、とな」

報告するべく、急いで着替えた私は執務室にいた。

「はい」

この部屋に入ることを許されているのは、ごく一部の限られた人間と、私(まぁもう1人いるが)だけだ。

「……それで報告を忘れた、と・・・・」

念を押すように聞かれ、私はもう一度頷く。

「ふむ。……まぁ、お主が人込みに弱いのは昔からだからの。別に咎めることもあるまい」

「それでは・・・」

「うむ、これからも我が社の為に励んでくれれば良い」

柔和な笑みで言われ、肩の荷が降りて安堵する私に

「……それにな、お主の分も含め、あやつが全て報告してくれての」

「え・・・?」

さっき自室で会った時は何も言わなかったのに、内心で言うと相手はこっちの胸の内を見抜いたように

「まぁ、誰も言う訳ないわな。・・・・ということで、あやつにもしっかり感謝しておくように」

以上、威厳のある声音で言われ、執務室を後にする私。

(……どうして)

自室に向かってる間、渦巻くのは、「あやつ」のことだった。