「・・・ねぇ、あなたは大きくなったら何になりたいの?」


ふと、唐突に聞かれたからだろう、彼は一瞬きょとんとした顔付きになった。


「私は、お嫁さんになりたいんだ……」


大好きな人のお嫁さんになって、その人と幸せに暮らしたい。


「……そうか・・・」


そんな私の拙い夢を聞いたその人は、


「……じゃあ、ボクはお婿さんかな?」


お婿さんになって、大好きな君を幸せにしたい。


「ぇ・・・?」


別に、そういう意味で言った訳じゃない。ただ純粋に気になっただけなのに。


「驚いた?」


悪戯みたいに言われ、暫くしてからかわれたのだと察した。


「ははっ、からかってなんかいないさ。……じゃあ、ボク達は、大人になったら結婚しよう」


…………それは、子ども同士が交わした、あどけない口約束。


「……うん、絶対・・・」


互いの小指を絡ませ、


   「指切り拳万



    嘘ついたら



    針千本飲ます



       指、



     切ったっ・・・」