――ザァァ…!!

ザワザワと森がざわめく。

森の主であるじいさんが、
僕たちの進む「道」を繋いだに違いなかった。


「…じゃあ、行こうか。じいさん、また帰りに。」

僕が自分の荷物を手に持つと、ユリさんも慌てて後に続いた。


『――あぁ、ハルカたちに宜しくなぁ。お嬢さん、楽しんで…。コンの言葉は、ハルカ…ミハルの母親なら、何とかしてくれるかもしれないよ…』

「――はい!!」

じいさんの言葉に、
彼女は一層に瞳を輝かせて返事していた。


大樹を背に送り出されながら、
僕たちは再び深い森を歩き始めた。

先頭にはコン。
相変わらず地べたをチョコチョコ歩きながら、時折に背中の羽を動かせてパタパタと体のバランスをとる。

その様子に「可愛い」と表情をゆるませるユリさんが、また1つ僕に質問した。


「…楽しみ!!お母さんは妖精さんなんですよね?お母さんの魔法で、コンちゃんとお話出来るようになりますか?」

「どうかな?妖精の魔法っていっても大したことないから、普通は無理なんだけど」

「……そうなんですか」

シュンとした残念そうな顔。

コロコロ変わる表情に、
ついつい僕は苛めたくなってしまうのだ。