3・課外授業と僕の秘密



今回の学園長は、
本当に気前が良かった。

有給休暇を使って良いと言う。
更には、帰郷する汽車の切符まで手配してくれた。

僕とコン、
そして「孫娘」の3人分。


「……断れないじゃないか」

大荷物になったトランクを足下に置き、僕は汽車の駅のホームに居る。

孫娘を丁重におもてなし出来るよう、待ち合わせ場所で早くから待っていた。


「――すみません!お待たせしました!ミハル先生」

「――…あ」

そこに現れたのは、
知った顔だったのだ。


『あら。慌てん坊さん?』

そう、
つい昨日、広場で言葉を交わしたばかりの女生徒だった。


「…え?学園長の孫娘って、昨日の君だったの!?」

「はい。すみません、唐突に祖父が無茶なお願いを…」

おもてなしどころか、逆に深々と頭を下げられてしまった。


「…いや、学園長の無茶には慣れてますので…」

「本当にすみません!でも嬉しいです!!宜しくお願いします、先生!!」

無邪気な笑顔。
やはり、断れないじゃないか。

昨日の会話を思い出すと、
学園長の急なお願いにも、変に納得がいった。

「…なるほどね」