「今日は…って、さっき言ってたじゃない。」

「お偉方の手前はね?俺の予想だと、5日は無理じゃない?」

暗がりの中でボソボソと、僕たちの声だけが小屋の中に反響していた。


「……それは困るね」

急な背中からの声。


「「――っ!!」」

僕たち以外の声に驚いて後ろを振り返ると、入口付近にもう1つランプが揺れていた。

時折、揺れたランプの灯りに反射する白髪と、甘い落ち着いた呑気な声。


「……学園長?」

「そう、僕。お疲れ様ー」

大学のトップのお偉い方が、
一歩遅れて到着していた。


「…いらしてたんですか」

「うん、皆は?」

「学部長たちは先程。とりあえず今日は全講義を休講にするとか…」

「そう、そうだね」

ランプが僕たちに近付くと、

――…キャンっ!!

『――…いっだいぃ!!俺様を踏むなよっ!!』

そう足下からコンの鳴き声がした。
呑気な学園長に、自慢のフサフサの尻尾を踏まれたらしい。


「……おぉ、コンちゃん、居たの。黒いから気付かなかったよ、ごめんねぇ」

学園長はコンを気に入ってくれていて、わざわざ膝を折って頭を撫でた。


『…じぃさん、気を付けろよ!!丸焦げにするぞっ!!バカバカ!』

勿論、言葉は通じない。