何人かの生徒に声を掛けてみても、
「わかんない」
「何か急に~?」と、
納得出来る答えは返らない。


『あの慌てん坊さん、こりゃ休講だったんじゃないっ!?良かったネっ!!』

コンは僕の胸で、呑気にそんな事を言っていた。


薄暗い構内を進んでいくと、
一際に暗いカフェテラスに何人もの生徒が集まり、周囲に何かを求めていた。


「…どうしました?」

「――あっ、先生!火、持ってない!?古いロウソクのランプを何個か見つけたんだけど、肝心の火が無いの。」

「…あぁ、僕も煙草は吸わないからなぁ…。」

それは女の子の集団で、
自らがマッチを持っている子たちは、早々に火を灯して移動してしまった後の様で、彼女たちはカフェテラスに取り残されたという話だ。


「…そのロウソク1本貸して?ちょっと待ってて下さいね?」

僕はそれを受け取ると、人影が一層にない物陰に姿を消した。

コンを地面に下ろすと、

「はい、お願いします」

と、ロウソクを差し出した。


『えっ』
「…火、出して」

『出しちゃダメって、自分が散々言ったじゃんか!!』

「――緊急時!!」
『……もぉ』

フィ…と、
いとも簡単に、
コンは口から火を吹く。