晴れているのに、雨が降る事を、"狐の嫁入り"という。
私は、小学生の時に知った。
そして今日の天気は…
狐の嫁入りだった。
「なんで晴れてんのに雨降るんだよー!」
そんな事を言う川崎瑠音。
近くにあった屋根の下で雨宿りをしていた。
「はぁ…この天気は、狐の嫁入りだ…」
小学生の時、おばあちゃんに教えてもらった言葉。
てことは…今は狐が嫁入りしてるのかな??
"見つけた!俺の姫!"
「え??」
空耳が聞こえたような気がした。
いや、聞こえた。
「なんだろ…」
気のせいだと思った。
すると、目の前に茶色のトイプードルがいた。
「…可愛い…」
近づいて、しゃがんで手を出す。
すると、ペロッと舐めた。
「捨て犬なの?」
そう言うと、すごい風が吹いた。
「うわぁ!!」
慌てて顔を隠す。
目を開けると犬はいなかった。
「あ~あ…どっか行っちゃった…」
空を見上げると、さっきの雨が嘘のように止んでいた。
「嫁入り成功したのかな?」
なんて思いながら、家に帰る。
何故か、さっきの犬が忘れられなかった。

