「おにぃ!!!!!!」

町の中を、耳を劈く、空襲警報が鳴り響く。俺は町並みを走っていた。俺の後ろを、おかっぱ頭で頭巾を被った少女ー妹、やえがついてきたのだ。

俺は驚愕してやえに駆け寄り、その小さな肩をつかんだ。

「やえ!!!!!!来てはいけないとにいちゃん言っただろう!!!!!!母さんのところにいけと!!!!!!」

なぜ、やえはここにいるんだ。やえは母さんと一緒に、東の防空壕に逃げたはずなのに…!

「いやや!!!!!!やえはおにぃと一緒にいく!!!!!!」

やえが目に涙をいっぱい溜めながら、俺に言った。やえは10歳ながら、俺にベッタリだった。だからだろう、やえは母さんの手を振り払い、俺のところへ来たのだ。

やえの言い分を聞くが否や、嫌な音を立てながら、空から鉄の塊が降ってきた。