綾芽side
廃ビルに、乾いた銃声が響き渡った。銃口から、細く白い煙が吐き出され、空気に溶けていく。
「なぜ…」
声が、聞こえる。
「なんで、殺さなかった…?」
私は、殺さなかった。いや―殺せなかった。
銃口から吐き出された銃弾は、私の足元の床に抉ったような傷をつけ、銃口を向けていた安久李さんにあたることはなかった。
「なんで…?俺は悪魔で、凛童ちゃんは「わかっています。」」
私は安久李さんの言葉を遮った。
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