「ユイ、また暗い顔になってるよ!
ほら、もうすぐ見えるよ。」


友人のみちるが車の窓を指差した。
その先には、白い無数の光。


「・・・・綺麗。」


私は、思わず呟いた。


みちるとは、もう10年以上の付き合いの幼なじみ。
彼女は2年前に結婚をしていて、今は函館で暮らしている。


「突然ユイから、『函館に来る』って聞いたときは
彼氏と一緒なのかなぁって思ったけど
実際は寂しい一人旅だったんだね。」



「うん。
ちょっと一人でいろいろ考えたくってさ。」



「ふーん、そうなんだ。」



本当は、一人になるのが怖かった。


こうちゃんと二人で観るはずだったクリスマスツリーの前に
ひとりぼっちで立つのが怖かった。