私はこのとき、
初めてこうちゃんの前で泣いた。

こうちゃんの言葉が素直に嬉しかった
…嬉し涙。


そして、
その言葉が絶対に叶わない願いであることに
あらためて気づかされた
…悲しみの涙。



『ずっとそばにいたい。』



それは、絶対に許されない。


私たちの関係を心配してくれていた
原田先輩が言った一言を思い出した。


『不倫なんてものは、
結局最後はみんな傷ついて終わる。』


わかってる。
そんなことは、わかっているけど
でも、もう後戻りはできない。


その夜も私は、
妻が愛する夫のために選んだシーツの上で、
こうちゃんと抱き合い
何度も何度もキスをした。


20歳の冬。

自分の罪を自覚するには、私はまだ若すぎた。