店に入るとすぐに、
こうちゃんはミルクティーを頼んでくれた。


「ユイはどこに行っても
ミルクティーばっかり飲んでたもんな~。
…あれ?今はもう飲んでない?」



「今も好きだよ。ミルクティー。」



1mの距離で、目が合った。

頬が赤くなるのがわかった。

まともにこうちゃんの顔が見られずに、私は窓際に置かれた小さな花を眺めていた。


「全然変わってないな。

いや、ユイは5年たって
あの頃より綺麗になったよ。」


「何それ?冗談でしょ?

22歳の女子大生ともうすぐ28歳の主婦を比べて
本気でそんなこと思ってるの?」


「うん、思ってる。

ユイはこの5年間
幸せな時間を過ごしてたんだろうなぁって。
だから、素敵な年のとり方をしてるんだよ。」


私は恥ずかしくて笑ったけど
こうちゃんは真剣な目をしていた。

そして、まっすぐに私を見つめてこう言った。




「今、おまえは幸せなんだな。」





私は、ミルクティーのカップをぎゅっと握った。


てのひらが熱かった。