遅い日暮れ。多くのかもめに見送られながら、
フェリーはコペンハーゲンの港へ向かう。
白夜といえどもコペンは少し南に下って数時間真っ暗になる。

港に着いた頃はもうかなり暗かった。バスで市内へ。
チボリ公園のイルミネーションを通り過ぎて終点中央駅に着いた。
もう真夜中、3人はねぐらを求めて駅の近くの公園をさまよう。

初めての海外での野宿だ。何とか場所を見つけて眠った、
と思ったらすぐに朝、教会の鐘がこまめにガランがランと時を告げる。
ゆっくりと寝てなんかいられなかった。

朝早くに3人はもう起き上がってコペンの
有名なユースホステル、ベラホイへと向かった。

ベラホイのユースはとても大きくたくさんの旅人が、
チェックインのために並んでいた。日本人もかなりいる。
いろいろと情報交換をする。

ここコペンでもワーパミ(労働許可証)が取れるということや
夏は物価の高いストックが一番。朝昼のダブルもいける。

ドイツは仕事はあるが給料が安く、働くならスイスまでで、
あとの国ではとても賃金が安く働かないほうがよい、などなど。

ここで久しぶりにのびのびと一泊して、翌朝。
青タオルのオサムは車を買いにリューベックへ。

マメタンはコペンで職探し。落ち研は欧州一周の旅へ
列車で出発と、3人の珍道中もここでおしまい。

「リューベックで車買ったらベラホイに戻ります」(青タオル)
「職が見つかったら掲示板にメモしときます」(マメタン)
では一週間後にと言って掲示板の前で別れた。

いよいよほんとの一人旅。なけなしの300ドルで
ワーゲンの中古を買いにリューベックへと南下した。

ヒッチハイクはなれたもの、寝袋ひとつを肩にかけ、
青いタオルをなびかせて、サイモンとガーファンクルを聞きながら
青春真っ盛り、若林オサム23才の夏の終わりの頃でした。