「緊張してるみたいだね。なんだか……花音らしくない音」
拓斗の言う通り、花音最大の武器とも言える華やかさが足りない。
技巧的には圧倒的に拓斗の方が上だけれど、花音は花音で、聴いた人を笑顔にさせてしまう魅力ある演奏をする。
それは演奏家にはなくてはならない絶対的要素なのだけれど、それが花音には自然と身についているのだ。
なのに……。
ここしばらくちゃんとした練習をしていないせいか、いじめた者たちと再び顔を合わせることへの恐怖か。
いつもの伸びやかさがない。
昨日、水琴さんと花のワルツを弾いていたときは、あんなに生き生きとしていたのに。
弾き終わった花音は、ヴァイオリンをテーブルに置いて、両手を胸にあてて動かなくなった。
良く見れば、どうやら深呼吸をしているようだ。
昨日、僕が水琴さんにやらされていたのを真似しているのか……。
どうにかして気持ちを楽にしてあげられないだろうか。
そう思い、リビングに引き返して西坂を呼ぶ。
今日は拓斗に見張られているし、楽器を触ることも出来ない。
それならば。
花音が喜んでくれそうなものを、作ってみようか。
拓斗の言う通り、花音最大の武器とも言える華やかさが足りない。
技巧的には圧倒的に拓斗の方が上だけれど、花音は花音で、聴いた人を笑顔にさせてしまう魅力ある演奏をする。
それは演奏家にはなくてはならない絶対的要素なのだけれど、それが花音には自然と身についているのだ。
なのに……。
ここしばらくちゃんとした練習をしていないせいか、いじめた者たちと再び顔を合わせることへの恐怖か。
いつもの伸びやかさがない。
昨日、水琴さんと花のワルツを弾いていたときは、あんなに生き生きとしていたのに。
弾き終わった花音は、ヴァイオリンをテーブルに置いて、両手を胸にあてて動かなくなった。
良く見れば、どうやら深呼吸をしているようだ。
昨日、僕が水琴さんにやらされていたのを真似しているのか……。
どうにかして気持ちを楽にしてあげられないだろうか。
そう思い、リビングに引き返して西坂を呼ぶ。
今日は拓斗に見張られているし、楽器を触ることも出来ない。
それならば。
花音が喜んでくれそうなものを、作ってみようか。


