「……え?」
僕は驚いて水琴さんを見た。
「待ってください。僕はまだ全然弾けていないんです」
「弾けているわ、大丈夫。それで二次は通ります」
「でも……」
こんな、半端な演奏を他人に聴かせるなんて……と抗議しようと思ったら。
その前に、ふわりと微笑まれた。
「大丈夫。本選では貴方が望むような演奏をさせてあげるから……だから、明日の練習は少なめにして、少し指を休ませてあげてね。コンディションを整えることも大事ですよ?」
優しげにたわんだ桃色の唇。
けれど、どこか強い輝きを持つ鳶色の瞳に、従わざるを得なかった。
「……はい」
頷いた僕を見て、水琴さんは更に柔和な笑みを作る。そしてそのままの顔で拓斗を振り返った。
「拓斗くんもね」
「はいっ」
拓斗はお手本のように良い返事をする。
その横で、花音が物言いたげな顔をしていた。
どうしたのかと視線を送っていると、花音は僕を見て、そして横の拓斗を見て、最後に水琴さんを見た。
「せんせー……あの、私も、二次予選……出たい、です……」
僕は驚いて水琴さんを見た。
「待ってください。僕はまだ全然弾けていないんです」
「弾けているわ、大丈夫。それで二次は通ります」
「でも……」
こんな、半端な演奏を他人に聴かせるなんて……と抗議しようと思ったら。
その前に、ふわりと微笑まれた。
「大丈夫。本選では貴方が望むような演奏をさせてあげるから……だから、明日の練習は少なめにして、少し指を休ませてあげてね。コンディションを整えることも大事ですよ?」
優しげにたわんだ桃色の唇。
けれど、どこか強い輝きを持つ鳶色の瞳に、従わざるを得なかった。
「……はい」
頷いた僕を見て、水琴さんは更に柔和な笑みを作る。そしてそのままの顔で拓斗を振り返った。
「拓斗くんもね」
「はいっ」
拓斗はお手本のように良い返事をする。
その横で、花音が物言いたげな顔をしていた。
どうしたのかと視線を送っていると、花音は僕を見て、そして横の拓斗を見て、最後に水琴さんを見た。
「せんせー……あの、私も、二次予選……出たい、です……」


