けれどいつだったか、花音が急に「おかあさんに会いたい」と泣き出して。

僕と拓斗は必死になってあやしたんだ。

頭を撫でてあげたり、お気に入りのウサギのぬいぐるみを持ってきてみたり、ピアノを弾いてみたり、歌を歌ってみたり。

けれど、いつまで経っても花音は泣き止まなくて。

それがだんだん哀しくなってきて。

とうとう拓斗も泣き出した。

僕はどうしたらいいのかわからなくなって、ただ、オロオロしていた。


そのうち、わんわんと泣き続ける2人を見ていた僕も、だんだん哀しくなってきて。

でもお兄ちゃんだから、泣いたら駄目だと思って。

そうこうしているうちに、両親が帰ってきたんだ。


両親の元へ一目散に駆けて行く2人。

寂しかったと、素直に両親に飛びつく2人。

それを僕は、遠くから眺めていた。