「ねぇ兄さん。最近、花音、おかしくない?」

「……おかしい?」

リビングに入ったところで、拓斗を振り返る。

「なんだか、甘えすぎっていうか……いや、元からそうなんだけど、最近は甘え方が度を越しているというか……」

「……そうだね」

それは確かに僕も感じていた。

家にいる間、大抵僕か拓斗の傍にいて、離れない。

夜寝るときも、添い寝しないと眠れなくなった。

寝つきも悪いのに夜中もよく目を覚ますようで、僕か拓斗のベッドに潜り込んでくるのもしょっちゅうだし、トイレにもついていかないといけなくなった。

いくら甘えん坊の妹とはいえ、小学校中学年の頃からは、それなりに自立してきていたのに。

ここ数ヶ月で幼児返りしているのだ。

「学校で何かあったかな……?」

心配そうに呟く拓斗。


学校で、何か。

……そういえば、最近は週末になっても友達と遊びに行かなくなった。

何かあったかと言われたら、思い当たることがありすぎるのだけれど……。