「ホントは本選まで行きてぇけど……いや、やっぱ、頑張んねぇとかな。ただ反抗してるだけじゃねぇんだって、真面目に考えてんだって、分かってもらいてぇからな……。マスターに言われて、そんな風に思えるようになったんだけどよー」

そう言って笑う響也。

彼は良い人にめぐり合えたようだ。

「君なら、出来るよ」

目の前に掲げた目標、そして夢に向かって突き進んでいく彼は輝いている。

しっかりと地に足をつけ、真っ直ぐに前を見つめている彼もきっと、『狭き門』を通れる人間だ。




僕は──

僕は、どうだろう。

ただ、焦燥感だけが、積み重なっていく。