その痛みに呻きながらも、抵抗はしなかった。

彼らの気が済むまで殴ってもらえたら、それで良かった。

“赦されてはならない”僕に与えられる罰は、より苦しい方がいい。


殴られて切れたのか、自分で歯を食いしばるうちに切れたのか。口の中にじわりと鉄サビの味が広がる。

ふらりと倒れ掛かっては掴まれて、殴られて、蹴られて、投げられて。

けれど……それすらどこか遠くから見ていた。

醜い顔で嘲笑する男性たちの顔も声も、殴られて呻く自分の声も、感じる痛みも。

すべてがあの日から遠くて、遠くて、霞んでいて。日々は僕に何も残さず、するりと通り過ぎていく。

そんな夢の中にいた僕は、突如現実に引き戻されることになる。


殴られ、倒されて地面に手をついて。

全身に感じる痛みも遠くに感じていたはずの僕が、はっとするほどの焼け付く痛みを感じた。

うつ伏せになった状態から、僅かに顔を上げ、その痛みの根源を見た。

左手に、硝子が突き刺さっていた。

大きな鋭い硝子の破片が、手の甲から角を出している。