「どこ見て歩いてんだ、この坊主!」

薄いブラウンのサングラスをした男性が、僕の肩を突き飛ばした。

「……すみません」

沈んだ気持ちのままに謝ると、それが生意気だと受け取られたようだ。

「なんだぁ、そのなってねぇ謝り方は。最近の若いのは挨拶も碌に出来ねぇのかよ、あぁ?」

「生意気なガキには、ちゃあんと指導してやれよー」

「ちょっとムシャクシャしてたし、丁度いいんじゃね」

ゲラゲラと不快な笑い声が響き、僕は胸倉を掴まれて建物と建物の間の暗がりに転がされた。

積み重ねられていた木箱にぶつかり、ガラガラと崩れて辺りに散らばる。

その中から引き摺り起こされて、硬いコンクリートの壁に叩きつけられて。

「オラアッ」

重いボディブローを喰らわされた。

「っ……」

喧嘩はもちろん、運動も学校の授業でしかやらない僕は、それだけで足から力が抜け、膝をついてしまう。

「オラ、立てよおっ!」

それでも更に拳が身体に突き刺さる。