すべてが穏やかになるように願い、過ごした厳しい寒さの冬も、やがては雪解け、川となって麗らかな春へと流れ着く。
僕たちはひとつ年を重ねた。
所謂『受験生』という年に、なった。
「それでは、拓斗くんと花音ちゃんはE部門に参加、和音くんは受験のための勉強に専念、ということでいいのね?」
レッスン室のソファに座り、水琴さんは確認するように僕たちの顔を見渡した。
「はい、宜しくお願いします」
拓斗がペコリと頭を下げる。
「お願いしますっ」
花音も同様に、ぴょこんと頭を下げる。
また今年もやってくるコンクール。
拓斗、花音は同じ舞台で競い合う。僕は受験に集中するために辞退した。
「今年一位を取れたら、僕も兄さんみたいにコンヴァト考えてみようかな……」
なんて呟く拓斗に、一同の視線が集まる。
「じゃあ忙しくなるわね。私も早く戻ってこなくちゃ。その前に和音くんもあるしね」
そう、水琴さんは意気込む。


