「私、このままじゃ上達しないんじゃないかしら……」

僕たちが作業するのを眺めながら、ぽつりとそんなことを言う水琴さん。

「そんな、大丈夫ですよっ。すぐには無理ですけれど、努力は必ず実を結ぶんですっ」

拓斗は野菜を焼きながら力説。

「えへへー、水琴せんせー、私と一緒だもん~。一緒に上手になれるよ~」

仲間を見つけて嬉しそうな花音は、皿を出しながら微笑む。

「……そ、そうよね。努力すれば上手になれるわよね。ようし、頑張るわっ!」

と、また立ち上がる水琴さんは、拓斗と花音に「座っててくださーい」と窘められる。

その光景がなんとも可笑しかった。



拓斗と花音、2人の存在が僕を支えてくれていた。

胸の痛みが彼らの笑顔で緩和される。

彼らの笑顔で楽しそうに笑う水琴さんを見て、漣立つ胸の内が穏やかに凪いでいく。



そんな風に、時間が経つにつれて薄れていくのだろう。

穏やかな流れに逆らうことなく身を任せていれば、いつかはこの痛みも。