倒れそうになる僕を水琴さんが支える形になる。
「大丈夫? 和……」
僕を支えながら顔を上げた水琴さんと、丁度僕が顔を上げるのとは同じタイミングで。
至近距離で目が合った。
その瞬間、何か頭の中に蘇るものがあった。
ふわりとした甘い香りと、濡れた唇に冷たい感触が……蘇る。
僅かな時が流れて。
水琴さんの白い頬が朱に染まり、その目が泳いだ。
「あ、うん、グラスは、私が、持って行くからっ……」
動揺を隠せないまま顔を逸らし、僕の手からグラスを奪い取ってキッチンへ逃げていく水琴さん。
「……あの、水琴さん」
そんな彼女に、恐る恐る話しかける。
「僕、何か、しましたか……?」
がちゃん、と、シンクの中にグラスが落ちて転がる音がした。
「ううんっ、何も、何もないから大丈夫よ? 和音くんが悪いわけじゃないもの。何も気にしないで。ねっ?」
「……」
どうやら僕は、何かしてしまったらしい。
酒の力とは、恐ろしい……。
「大丈夫? 和……」
僕を支えながら顔を上げた水琴さんと、丁度僕が顔を上げるのとは同じタイミングで。
至近距離で目が合った。
その瞬間、何か頭の中に蘇るものがあった。
ふわりとした甘い香りと、濡れた唇に冷たい感触が……蘇る。
僅かな時が流れて。
水琴さんの白い頬が朱に染まり、その目が泳いだ。
「あ、うん、グラスは、私が、持って行くからっ……」
動揺を隠せないまま顔を逸らし、僕の手からグラスを奪い取ってキッチンへ逃げていく水琴さん。
「……あの、水琴さん」
そんな彼女に、恐る恐る話しかける。
「僕、何か、しましたか……?」
がちゃん、と、シンクの中にグラスが落ちて転がる音がした。
「ううんっ、何も、何もないから大丈夫よ? 和音くんが悪いわけじゃないもの。何も気にしないで。ねっ?」
「……」
どうやら僕は、何かしてしまったらしい。
酒の力とは、恐ろしい……。


