「一緒にクリスマスを過ごしてくれる人なんて、いないわよ」

「……そうなんですか」

それはあのポストカードの送り主と別れた後は、ずっとフリーだということだろうか。

僕の知らない交友関係があるだろうから、その辺りは少し心配していたのだけれど。

そんな人はいないという水琴さんの言葉で僕は安堵した。

「和音くんは? 彼女は大丈夫なの?」

「ですから、僕は彼女なんていません」

「そう? モテそうなのに……」

確かに、声をかけられることは多いのだけれども。

水琴さんへの想いを自覚してからは、そういう声は一切無視か、ばっさり切り捨てている。

僕の想いは一直線に水琴さんへ伸びているのだけれども、それに彼女が気づくことはないだろう。──今は。


「それじゃあ、クリスマスに宜しくね」

「はい」


軽く手を振ってから玄関を出て行く水琴さんに軽く頭を下げ、見送って。

僕は思考を巡らせた。


クリスマス……か。

何かプレゼントを用意した方がいいだろうか。