「花音ちゃん、すっかり元気になったみたいで良かったわ」

「ああ……そうですね。色々とありましたけれど、今はお友達とも遊べているみたいですし」

それでも、今でも五所川原を手放さないのは、傷は完全に塞がっていないからなのだろうけれど。

これも長い時間が必要な問題だ……。

「お兄ちゃんは色々心配事があって大変ね」

「え……そんなことは」

ない、と続けようとして。

言葉を失った。

僕の頭の上に何故か、水琴さんの手が……置かれたけれど。

……なんだろう、これは?


ゆっくりと瞬きをすると、同じ高さにある水琴さんの顔が、申し訳なさそうに歪んだ。

「ごめんなさいね、私のことまで色々と心配してもらって。本当に大丈夫だから……貴方は余計なことは考えないで、今はコンサートのことだけ考えていてね?」

僕はまた、ゆっくりと瞬きをした。

「……本当に、ありがとう」

何に対してなのか、礼を言う水琴さんは僕の頭をそっと撫でて。

にこりと微笑んで、花音の方へ歩いていった。