少し坂を上った先にある教会の階段には、フォーマルな衣装に身を包んだ人たちが整然と並び、そして最上段からは真っ白なウエディングドレスを着た花嫁と、黒いタキシードを着た新郎が腕を組んで降りてきた。
「結婚式だぁ…!」
花音が感嘆の声を漏らす。
「先生っ、見に行きましょうっ」
「んー……私はここで待っているから。見てきて」
「ええ~」
花音は少し残念そうにした後、拓斗の手を取った。
「拓ちゃん、拓ちゃん、もっと前で見ようよっ」
「え、ちょっと花音、引っ張らないで……」
拓斗の手を引っ張って、階段の下で結婚式の見物人となっている観光客の中に突っ込んでいく。
人混みは苦手なくせに、憧れの結婚式を見て気分が高揚したのかな。
「和音くんも見てきたら?」
「え、いえ……僕は、ここで」
と、鐘を見上げる。
高らかに鳴り響く鐘を見上げるには、真下よりも少し離れているこの位置の方がいい。
そんな僕の隣に、水琴さんも並んだ。
「和音くんが響かせたいのは、どんな鐘の音?」
鐘を見上げながら訊ねられる。
「ラ・カンパネラ……小さな鐘、という意味だけれど、鈴も風鈴も、ハンドベルのような音も、すべてカンパネラ。ギトリスのような荘厳な鐘の音も、あの教会の鐘も、ね。……和音くんは、どんな音を鳴らしたいの?」
「結婚式だぁ…!」
花音が感嘆の声を漏らす。
「先生っ、見に行きましょうっ」
「んー……私はここで待っているから。見てきて」
「ええ~」
花音は少し残念そうにした後、拓斗の手を取った。
「拓ちゃん、拓ちゃん、もっと前で見ようよっ」
「え、ちょっと花音、引っ張らないで……」
拓斗の手を引っ張って、階段の下で結婚式の見物人となっている観光客の中に突っ込んでいく。
人混みは苦手なくせに、憧れの結婚式を見て気分が高揚したのかな。
「和音くんも見てきたら?」
「え、いえ……僕は、ここで」
と、鐘を見上げる。
高らかに鳴り響く鐘を見上げるには、真下よりも少し離れているこの位置の方がいい。
そんな僕の隣に、水琴さんも並んだ。
「和音くんが響かせたいのは、どんな鐘の音?」
鐘を見上げながら訊ねられる。
「ラ・カンパネラ……小さな鐘、という意味だけれど、鈴も風鈴も、ハンドベルのような音も、すべてカンパネラ。ギトリスのような荘厳な鐘の音も、あの教会の鐘も、ね。……和音くんは、どんな音を鳴らしたいの?」


