私の唇はキス魔に持って行かれました


お客さんのピークが過ぎて暇ができる


「………霧夜くん、大丈夫?」


お店裏手でぐったりの霧夜くんを発見した
片手には1.5リットルのスポーツドリンクが…


「死ぬ、マジ無理」

「この後、私が鉄板やろうか?」


焼きそばくらいなら作れるし
なんか、本当に辛そうだし…


「火傷するかもしれないから、いい。おとなしく接客してろ」

「うん、わかった。でも、無理しちゃ駄目だよ?」

「…奈乃が俺の心配するなんて珍しいね」


…そうだね
自然と出た言葉に自分もビックリ


「奈乃の言た通り無理はしないから大丈夫だよ。ありがとう」


"ありがとう"っと笑いながら霧夜くんは私の頭をポンポン撫でてきた

そして、ゆっくり立ち上がり厨房に戻って行った

私はその場から動けないでいた

撫でられて…どきどきしてしまった
笑顔を向けられ…キュンキュンしてしまった

なんなの?この気持ち…
私、こんな気持ち知らないよ…?