..――今朝のこと


きちんとかけていたはずの目覚ましがならなかった。いや、多分鳴ってたんだろうけど全く気がつかなかった。乗らなきゃいけない電車の時間まであと30分。家から駅まで15分。私に残された時間は15分しかない。

とりあえず眉毛は書かなきゃ...歯も磨かなきゃ...朝ごはんはいいや!!よし、準備オッケー。髪はめんどくさいからツインテールだ!よし、行くぞ!!

駅までの道を精一杯の速さで走り、なんとか登校時間までに間に合うであろう電車に乗ることができた。

今日は色んなガイダンスがあるんだよな、確か。
あー、友達出来るといいなー。でもギリギリ登校だし、なんか入りにくそうだなあ。やだなあ。



駅から学校までも全力で駆け抜け、チャイムの鳴る三分前には教室につくことができた。
ホッと胸をなでおろし、自分の席につこうとしたときに、誰かにぐいっと腕を引っ張られた。


「え、ちょ?!」

『あれ、先輩~ここ一年の教室っすよ?』


腕を引っ張ったのは山田くんだった。
ってか、先輩?...ああ、そうか、昨日彼に会ったんだった。そこで先輩だと勘違いされて、訂正もせずに帰ったんだっけか。


「あ、いや、私...」

〔おい~ハル、何言ってんの?(笑)早速山田さんターゲット?(笑)〕

〔さっすがイケメン。やることはえーよなー!〕

『は?山田さん?は?』

「あ、ごめん...。私、君の前の席の山田小梅です。」

『え?!えー、先輩じゃなかったの?!え、昨日カラオケにいたよね?!うっわー、まじメンゴ。はっず!!(笑)』


爽やかスマイルで謝る彼の声は相変わらずデカい。クラス中の人達の視線が窓際に集まる。
い、痛い。視線がかなり痛い。なんか悪いことしてるような気分だ。