― 昼休み


 この学校へ来て大分経つのに、初めて学食へ足を運ぶ 

慣れない場所に違和感を感じながら窓際の席に向かう


 「でも、どうして急に?」


 「急じゃないよ。サヤを何度か学食に誘おうと思ってたんだけど、部室に行っちゃうでしょ? それに今日はリオ休みだし♪」


 「ごめん。……誘ってくれてありがとう」


 「やっと笑ってくれたね」


 「えっ?」


 「リオがいる時にしか話してくれないから、私のこと嫌いなんじゃないか? って思ってたんだ」


 「そんな事ないよ。瑠香さん好きだよ」


 「ありがと。ところで、サヤ彼氏とかいないの?」

 「ふぇ~?」

 あまりにも突然の質問に間抜けな返事になってしまった


 「この前、せっかくの文化祭なのにボーイフレンドらしき人誰も来てないみたいだったしさ」


 「……いないよ」


 「でも好きな人くらいいるでしょ?」

 答えられない変わり顔が真っ赤になるのが自分でもわかる


 「その人には告白したの?」


 「告白はしてないけど……」

 どう言ったらいいんだろう?

 机の中にチョコを入れた

 けど、名前を書くの忘れて……
 
 それに散々無視してきたのは私だし……


 「言ってごらん」


 彼女は、決して人の恋路を楽しんでるとかではないのが分かる

 今まで胸に痞えていたものを吐き出すように話し出した