だけど、一瞬後……

 それが本当なら

 嬉しいな。

 その気持ちを悟ったのか?


「お姉ちゃん荻野って人のことが好きなの?」

「ううん」

 妹にさえ素直に言えない。


「ふーん、ユイは憧れの人いるよ♪ 部活の先輩だからお姉ちゃんも知ってる人だよ」

 私とユイは同じ陸上部


「誰だれ~?」
 
 話をそらすように聞いたら、ユイは耳打ち際にこっそり教えてくれた。


「お姉ちゃんにも好きな人とか出来たら教えてね♪」

「うん……出来たらね」

 この場はごまかしてしまった

 だって、今更でしょ?


「とにかく、もう荻野って人と関わりたくないから。じゃ、それだけ。……それと、もうすぐご飯だってお母さん言ってたからユイ先に下行くね」