先生は、三年生の一人に12人分の“青春18切符”を渡していた
特別指定席のないJRなら何処までもいけるという優れものらしい
「それじゃ、気を付けて行くんだぞ」
先生は、それだけ言い、見送ってくれた
特急あさま号に乗った
「先輩、ここいいですか?」
憧れを抱いているスミレ先輩こと山村 浅海(ヤマムラ アサミ)さんのいる同じboxシートに出向いた
「どうぞ♪」
笑顔でスナックを頬張りながらのスミレ先輩
「もう、おやつですか?」
「朝、食べてきてないんだぁ。食べる?」
「いえ、いいです」
「みっちゃ~ん、隣いい?」
シキリちゃん
「うん♪」
重たいリュックをやっと手放せる
ふぅ……
お米5合ってこんなにも重かったのね
電車はゆっくり動き出す
窓の外に居る人たちに暫しのお別れ


