―― 次の日
お昼を過ぎた頃だろう？
「お姉ちゃん、電話だよ」
こんな時間に誰だろう？
「ハイ、代わりました」
『俺』
……
今日だったんだぁ
やっぱり気のせいなんかじゃなかったのね？
「うん。」
『随分あっさり受け入れるね？』
「うん。なんとなく電話が掛かってくる感じがしたから。正確には昨日かかってくると思ったけど」
『凄いね!? 俺のテレパシー届いたんだ。昨日掛けるつもりだったんだけど、用事があったから今日にしたんだ』
そんなの送っていたんだね？
オゾマシイ程強く感じ取った訳を納得した
「……で、何？」
もう話す事無いんだけどなぁ？
『今、佐山さんの家の近くの公園に居るんだけど、出られる？』
「今は無理です」
暇だけど会いたくないし
『そっか。会って直接言おうと思ったんだけど、まぁいいや。すぐ終わるから話は聞いてくれる？』
「はい」
今更でしょ？
改まってなんだろう？
『今までごめんね。オレ、もう佐山さんに電話掛けないから。ずっとオレの話に付き合ってくれてありがと』
「はぁ……」
『オレの話こんなに聞いてくれたの佐山さんが初めてだったから嬉しかったんだ。でも迷惑だったよね？ 本当にごめん』
半分以上聞いてなかったような気がするけど……
電話を切るタイミングが掴めなかったんだもの
「いえ」
『これで最後だから、土産に佐山さんの好きな人教えてよ？』
「そんなの……いないよ」
本人を前にしても言えないのに
アンタになんか言えるわけ無いよ
『やっぱり最後までそれだけは教えてくれないんだね？』
「……」
もしかして私の本心知ってるのかなぁ？
『まぁいいっか。今までありがとな』
「いえ」
電話が切れた
今日の槙村、今までと別人みたいだったな
その後本当に彼から１本の電話も掛からなくなった
